満月の夜は犯罪が増える?
差は見られない
本ページは通報・記録ベースの件数統計です。実際の発生件数や暗数とは異なる場合があります。
シカゴ(2001年〜)
- 平均(全期間)
- 928 件/日
- 満月の日 (±24時間)
- 926 件/日
- 新月の日 (±24時間)
- 932 件/日
- 満月の日の判定
- 差は見られない
- 対象データ
- 2001年〜2025年・8,477,534 件
ニューヨーク(2006年〜)
- 平均(全期間)
- 1,376 件/日
- 満月の日 (±24時間)
- 1,375 件/日
- 新月の日 (±24時間)
- 1,376 件/日
- 満月の日の判定
- 差は見られない
- 対象データ
- 2006年〜2025年・10,049,687 件
第2幕: 事件の数を大きく動かしていたもの
今回のデータで、はっきり見えた差はこちらです。
×3.3
シカゴで最も事件が多かったのは2020年5月31日——1,901件、平常の約3.3倍でした。件数を跳ね上げていたのは、その日に起きた出来事です。
曜日による差はわずかで、最も多い金曜日でさえ最も少ない日曜日の約1.09倍にとどまります。数字をはっきり動かしていたのは、その日に起きた出来事でした。
少なくとも今回のデータでは、その日の出来事のほうが、ずっと大きく事件の数を動かしていました。「満月の夜は忙しい」という現場の実感と月との関わりは、まだ探している途中です。
「満月の夜は事件が増える」という言い伝え
月の言い伝えの中でも、これは最も根強いもののひとつです。英語で「精神錯乱」を意味する lunatic の語源は、ラテン語で月を指す luna。満月が人の心を乱し、暴力や事件を呼ぶ——警察官・救急隊員・看護師といった現場の人々のあいだでは、「満月の夜は忙しい」という体感が今も語り継がれています。これは笑い飛ばすべき迷信ではなく、毎晩のように現場に立つ人たちの実感です。だからこそ、データで正面から確かめる価値があります。
この判定はどう計算しているか
- データは米国2都市の警察オープンデータの日次件数です。シカゴ(2001年〜・全犯罪) と ニューヨーク(2006年〜・NYPD通報記録)。いずれも事件単位で公開された公的記録です
- 犯罪件数には強い曜日パターン(週末の夜に多い)と季節性(夏に多い)があります。そこで「同じ曜日×同じ月」の平均を期待値とし、実測÷期待の指数で比較します(事故・出生トピックと同じ調整方式)
- 報告制度や人口の変化で件数の水準は年々動きますが、「曜日×年」で正規化しているため、満月の日と新月の日の比較には影響しません
- 各市の正午時点の月齢で「満月の日(瞬間±24時間)」「新月の日」を判定し、各グループの指数の平均を平常(1.00)と比較します
詳しい判定基準は方法論をご覧ください。
データを読むときの注意
- これは「通報・記録された件数」であり、実際に起きた件数そのものではありません。通報されない事件(暗数)は含まれません
- 本ページが検証しているのは「カレンダー上の満月の日に、記録された件数が目に見えて多いか」という一点です。現場の「満月の夜は忙しい」という実感は、件数とは別の形——事件の種類や、対応の大変さ——に表れているのかもしれません
まだ見えていないこと
今回の結果は「月は関係ない」という意味ではありません。今の調べ方では、次のようなことが見えていません。
- 時間帯:言い伝えは「満月の夜」の話です。今のデータは1日単位なので、夜の数時間だけ増えるような動きは見えません
- 事件の種類:けんかや騒ぎのような種類だけが増えていても、窃盗などすべての事件を合わせた数の中では見えにくくなります
- 現場の負担:件数が同じでも、一件ごとの対応の大変さは記録に残りません
次に調べたいこと
- 発生時刻を使って、夜の時間帯だけを取り出して比べる
- 暴力・騒ぎなど、罪種ごとに分けて見る
長く現場に立つ人たちの実感には、まだ数字にできていない何かがあるのかもしれません。いつか、それをデータで見つけ出したいと思っています。
データ出典
- Chicago Data Portal — Crimes, 2001 to Present(シカゴ市オープンデータ)
- NYC Open Data — NYPD Complaint Data Historic
- 月齢・朔望の瞬間は Jean Meeus "Astronomical Algorithms" のアルゴリズムによる自前計算(UTC基準)
最終更新: 2026年10月7日 00:48 (UTC)(毎日自動更新)