満月の日は雨が降りにくい?
差は見られない
今のところ、傘の判断に使える差は統計には現れていません。
東京
- 雨の日の割合(平均・1mm以上)
- 37.0%
- 満月の日 (±24時間)
- 38.5%
- 新月の日 (±24時間)
- 36.8%
- 満月の日の判定
- 差は見られない
ロンドン
- 雨の日の割合(平均・1mm以上)
- 33.9%
- 満月の日 (±24時間)
- 34.7%
- 新月の日 (±24時間)
- 34.4%
- 満月の日の判定
- 差は見られない
ニューヨーク
- 雨の日の割合(平均・1mm以上)
- 32.6%
- 満月の日 (±24時間)
- 32.2%
- 新月の日 (±24時間)
- 33.1%
- 満月の日の判定
- 差は見られない
対象データ: 1940年〜2025年・ERA5再解析(Open-Meteo経由)
第2幕: 月でないなら、何が降らせるのか
「差」を探しに来た方へ。本物の差はこちらです。
×2.4
東京では、雨が最も多い月(9月)の降水日率は、最も少ない月(1月)の約2.4倍です。雨を決めているのは月齢ではなく、季節です。
傘を持つかどうかは、月齢ではなく天気予報で。
「満月の夜は晴れる」という言い伝え
「満月の夜はよく晴れる」という感覚は広く共有されています。お月見の記憶はたいてい晴れた夜のものですし、農事暦には逆に「満月は雨を呼ぶ」系の伝承もあります。
「満月=晴れ」の記憶には、統計を取る前から答えの見当がつく仕掛けがあります。曇りや雨の夜には、満月が見えないのです。満月を見た記憶は晴れた夜にしか作られないため、「満月の夜は晴れていた」という印象だけが一方的に蓄積します。観測バイアス(生存バイアスの一種)の、教科書のような実例です。本ページは、その印象を実際の降水記録と突き合わせます。
この判定はどう計算しているか
- データはERA5(欧州中期予報センターの再解析データ、1940年〜)の日次降水量を、東京・ロンドン・ニューヨークの3都市分使用しています。場所を変えても結論が変わらないかを見るためです
- 指標は降水日(日降水量1mm以上)の割合です。雨量そのものは「ゼロの日が大半・降る日は桁違い」という歪んだ分布のため、平均の比較に向きません
- 雨には強い季節性があります(東京の梅雨、ロンドンの冬雨)。そこで「同じ月」の平均降水日率を期待値とし、実測÷期待の指数で比較します
- 各都市の正午時点の月齢で「満月の日(瞬間±24時間)」「新月の日」を判定し、各グループの指数の平均を平常(1.00)と比較します
詳しい判定基準は方法論をご覧ください。
実は「ほんの少しだけ」月は大気に触れている
2016年、衛星観測データから「月の引力による大気潮汐が降水をごくわずかに変調している」とする研究が発表されました(ワシントン大学、変調幅は約1%)。月の引力は海だけでなく大気もわずかに引っ張っている——これ自体は本物の物理です。
ただし約1%という変調は、傘を持つかどうかの判断はもちろん、長期統計でようやく検出できるかどうかという水準です。潮位ページの「多い」と、本ページの判定の違いを見比べると、「効果が実在すること」と「日常で意味を持つこと」の間にある距離がよく分かります。
データ出典
- Open-Meteo Historical Weather API(ERA5再解析、CC BY 4.0)/ ERA5: Copernicus Climate Change Service
- 月齢・朔望の瞬間は Jean Meeus "Astronomical Algorithms" のアルゴリズムによる自前計算(UTC基準)
最終更新: 2026年6月12日 07:09 (UTC)(毎日自動更新)